2008年03月29日

第4回伊豆大島ウルトラランニング 4

<<承前>>

いよいよ90kmの標識を右手に見つけて心がはやる。残りあと10km。いや、とりあえずあと3.5kmを17:30までに通過すれば、厳しい第三関門を突破だ。しかし、その10kmがこれまでの90kmに相当するものだということも薄々感じてはいた。はたして足がずっしりと重い。

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そこに買い物帰りのおばちゃんらしき方がニコニコと近づいてきて、

「たいへんだねえ。ごくろうさん。これ、飲んで」

と言って、手に提げたエコバックの中からジュースと飴を出してく差し出してくれる。

「え?い、いいんですか?」

と戸惑う私に、

「いいの、いいの」

と言いながら、差し出してくれる。丁寧にお礼を言うと、ジュースを飲み干し、飴を口に入れて走りだす。ジュースの成分よりも、飴の糖分よりも、もっともっと大きい心の栄養までいただいて感激だった。

行きと同じくアップダウンがある海岸線を必死に足を進める。92.1kmの間伏文化センターのエイドでは待望のぜんざい。おもちを2ついれてくれたぜんざいの甘みを渇望するように胃が包み込む。

いよいよ行きにも通過した地層切断面を右手に見ながら通過。西に傾いた太陽の光を受けて黄金色に光る地層切断面を見ながら、普通は自然の脅威に畏怖し、荘厳な感動を覚えることだろう。だが、king of 俗人の私は、困ったことにこう思ってしまった。

「ミルフィーユが食いてぇ・・・」

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太陽はどんどん西の水平線に。空気のプリズムで色が少しずつ褪せていく。メロスはどのような気持ちで沈みゆく太陽を見ながら走ったのだろうか。

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そこからもひたすら海岸線のアップダウン。第三関門も通過して、後は何もなければ歩いてもゴールできる。水平線の上で夕日がひときわ輝く。ここまで来てどうしたことかまた少し元気が戻り、しっかりとイーブン・ペースで走り始めることができる。

ついにたどり着いた最後のエイドでは笑いながら、

「もうここまでです。一歩もあるけましぇん」

と、いちびる(苦笑)。エイドの方も笑いながら、

「あと少しじゃないの。(子供たちに)ほら、おにいちゃん、がんばってって、言うのよ」

と言ってくれる。これが、「おじちゃん、がんばって」だったら果たして完走できたかどうかかなり微妙だったが、素直な子供はすばらしい。「おにいちゃん」で元気100倍、残る2.2kmをひた走る。

元町の市街に入り、小学校が近づいてくる。ゴールはもう近い。なんだかいろんな思いが心に去就して、ちょっと心にぐっときてしまう。田沢湖での初フル・マラソンと同じように笑顔でのゴールをずっと夢見ていた自分としては、そんな不意打ちのような心の機微がちょっと意外だった。

最後の角を曲がり、校門へ足を進める。道を示すスタッフにお礼を言いながら右に曲がると、校庭に朝暗いうちに出発したゴールが。渡辺教授直筆のゴールテープがゴールインを待っている。時計は12:34:40ぐらいを指し示していた。

「ゴール写真を撮るので」という言葉を思いだし、ワンパターンだがグリコのポーズ。そして、ゴールイン。

直後に、

「よしっ!いいポーズでしたよ」
「・・・すみません。撮りそこねました」

という声を聞く(笑)。がくっ。

でも、代わりに大島名物あんこ娘との写真を撮ってくれた。

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完走メダルは新島ガラスで作られたとってもきれいなメダルだった。一生の記念だ。フル・マラソンの時と同じような、でもその何倍ものじわっとした感慨が身体中に広がってくる。

やっと、終わった・・・。

走り終えた・・・。

本当に最後まで行けたんだ・・・。

体育館前で豚汁とチョコレートケーキを食べると、コロッケとメンチカツをサカナに、アンケートに答えて貰ったビールで祝杯。完走者も三々五々戻ってきて、また激しいコースと厳しい関門に阻まれた方々も車で戻ってくる。走った方も、スタッフの方も、本当に本当に、ごくろうさまでした。この日のことは、きっと一生忘れることが無いだろう。

今年のウルトラ・マラソン初挑戦に向けて、昨年末に自宅から近くの江戸川沿いを走ってみたが、練習と大会の違いはほぼ思ったとおりだった。

厳しい要因のひとつは、やはりアップダウンが激しいコースが当たり前であること。これは日本で行う以上、よっぽど広い平野か周回でなければ避けられない当然のことだろう。ただ、この伊豆大島ウルトラランニングの場合は、ウルトラ・マラソンの中でも結構タフなコースらしい。私は初めての大会だったので比較のしようが無いが、体感で野辺山よりもきついと言っていた人が数人いた。

もうひとつは今回は一部で少し風があった程度でほとんど支障はなかったが、風・雨などによる天候は12時間も走るとなるとかなり大きいと思う。そういう意味では、初のウルトラ・マラソンで天候に恵まれたことはかなり幸運だったといえよう。

逆に大きなプラス要因はエイドの存在。これなくして、私の完走はありえなかった。次に何を食べようと思うだけでも少しは足は進むし、事実エイドに寄った直後の1kmから500mは、どんなに疲れていても走り出すことができた。若干、エイドのボランティアの人に走り出すところを見られているという見栄があったとしてもだ(笑)。今回はすべてのエイドで必ず「いってきま〜す!」を言って、すべてのスタッフとおまわりさんに「おつかれさまで〜す」と声をかけることができた。フル・マラソンではできないことだ。また、エイドにあったすべての種類の食材を食べたのだが、これは単に食い意地がはっていただけなので自慢にならない(苦笑)。それにもしかしたら、走る前よりも走った後の方が体重は増えてるかも(汗)。

そして、今回は実際には初めて対面するにしても走っている途中でも会うことができたジョギングSNSの友人もいたし、ツアーの初日や、特に同室で仲良くなれた方々の存在もとても大きい。スピード・レースでライバルとして張り合うのとはまた違って、同じ完走を目指す仲間と走るのはまた違った感慨がある。

民宿に戻って入浴して、夕食。同室のメンバーは3人共に100kmを完走できたということでめでたい。また、どこかで会えると嬉しいなあ。その後、予約していた懇親会に遅れて出席したが、へろへろだったので2時間で退席。それでも少しだけでも100kmを走って今度しまなみ海道に出る方や、渡辺教授などともお話ができて、うれしかった。

民宿に戻ると、サンチャゴのようにライオンの夢を見ることも無く、翌朝まで泥のように昏々と眠り続けた。

おやすみなさい。そして、ありがとう。



第4回伊豆大島ウルトラランニング
日時2008/ 3/29(土)
場所伊豆大島
天気
距離御神火 100km
タイム12:34:40



第4回伊豆大島ウルトラランニング 前日レポート

第4回伊豆大島ウルトラランニング 1
第4回伊豆大島ウルトラランニング 2
第4回伊豆大島ウルトラランニング 3
第4回伊豆大島ウルトラランニング 4




posted by サンタパパ at 22:40| Comment(6) | TrackBack(0) | 大会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
完走だけじゃなく、凄いタイムだったんですね。おめでとうございます。これからはバシバシウルトラ出場ですね!サンタパパさんの「ファイト〜!」の掛け声は本当にうれしかったですよ。それにしてもパート2まで参加とは・・脱帽です(笑)
Posted by gemini at 2008年04月02日 20:17
>geminiさん

どうもおつかれさまでした。geminiさんとご家族の方にお会いできて本当によかったです。大きな走る力になりました(^^)。

走っている最中は、特に30km以降がかなりつらくてつらくて仕方が無いのですが、喉元過ぎればなんとやらで、また、ウルトラ・マラソンを走ってみたいと思ってしまいますね。不思議なものです。

懇親会は早起きな上に初ウルトラの疲れで轟沈しそうだったので、2時間でおいとまさせていただきました。でも、ちょっとだけでも参加できてよかったです。

Posted by サンタパパ at 2008年04月03日 22:00
やっと、ゆっくりとウルトラリポートをよむことができました。ウルトラってすごいなあ。ゼッケンが4枚あるし、食べ物も多いし、出会いも、満足感も、考えることも、すべて、あのフルマラソンの2倍以上なんですね。わたしも、いつか参加するぞ。(ボランティアとして・・・)
Posted by 白滝 at 2008年04月06日 22:15
>白滝さん

どうもありがとうございます!初めてのウルトラで一生忘れられない体験だったので、なんだかんだでだらだら長くなってしまいました。

私自身は初めてのフル・マラソンの時もかなりぐっときましたが、初めてのウルトラ・マラソンはその何倍もの感慨がありました。走っている時はめちゃめちゃしんどいんですけどね(^^;。走り終った時の達成感は格別です。

白滝さんも長い距離を走るのに向いてそうな感じなので、だんだん距離を伸ばしていつか大会で走ってみてくださいな。私も機会があったら、いつかボランティア・スタッフでも参加してみたいです。

Posted by サンタパパ at 2008年04月07日 21:28
初ウルトラ完走+好成績、おめでとうございます。・・・っとご苦労様でした。いつも、一歩先を行くサンタパパさんでしたが、いよいよ100歩先の人に思えてきました。
ただ、自分もマイペースながらいつかはウルトラを夢に一日一日走っていきたいと思います。
新年度に入り仕事も忙しくなってきて走るのが大変になってきたと感じる今日この頃でしたが・・・パパさんの完走記からも同じく忙しく・・・また、同じく故障を抱えていたのに〜ウルトラの目標を達成されたレポート・・・隅々まで読ませていただきました。

このブログをエネルギーに私も頑張るぞ〜っと思っています。
Posted by ポポロン・ライダ〜 at 2008年04月11日 20:19
>ポポロン・ライダ〜さん

どうもありがとうございます。ウルトラ・マラソンを目指す同好の士として、コメントをいただけてとてもうれしいです。100穂先なんてとんでもない。鈍足で練習不足の私はむしろ後ろにいると思います。

ウルトラ・マラソンは自分的には走り終えた後の充足感はフル・マラソンの比ではなかったです。また、6月に憧れでウルトラ・マラソンを走ろうと思うきっかけになったしまなみ海道に挑戦しますが、楽しく走れればうれしいです。

来週は志摩ロードパーティハーフマラソンですね。楽しそうな大会ですんで、ブログ、楽しみにしています。
Posted by サンタパパ at 2008年04月12日 03:21
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